男の子のしつけと怒りかた

一般的に女の子の精神的成長は、男の子よりも早いといわれています。

女の子の場合は、大人や特に親の言葉づかいや仕草のマネをして、大人ぶって楽しんだりします。

親から何か文句を言われようものなら、何故自分が叱られなければならないのかを考えて反論したり、「お母さんだって」とか「お姉ちゃんだって」などと他の家族も同じようなことをしているではないかといった比較による反論までやってきます。

一方で、男の子が弁論逞しく親や大人に反論している姿はあまり目にすることがありません。

ややもすると、反論するどころかすぐに目に大粒の涙を浮かべて泣き出してしまう男の子も多いことでしょう。

泣き虫な男の子は、特に多い傾向があるように思われます。

男の子は基本的に「母親依存度」が高い傾向にあります。

世のお父さん方には悲しいデータではありますが、「お父さんとお母さんのどっちが好き?」と男の子に訊いた場合、およそ8割の男の子が「お母さん」と答えることがわかっています。

それほど、母親と息子の絆は非常に大きいといえるでしょう。

要するに「甘えん坊」ということなのですが、突き放されるととても深い心の傷を負うことがあります。

つまり「ガラスのハート」である男の子が多く、とあるアイドルデュオの名曲にも「硝子の少年」という曲があるほどです。

男の子が何か危険な行為や反道徳的な行為を行った際に、どやしつけるのは良いことではありません。

女の子よりも打たれ弱いことが、研究データからもわかっています。

母親から罵られたり、ぶたれたりしたことが大人に成長してからもPTSDのように深層心理の中に植え付けられてしまい、大人の女性とまともに会話すらできなくなってしまう可能性もあります。

男の子は感覚的に動くものと考えた方が良いと考えられ、難しい理論的な説明によって、悪い事ややってはいけないことを理解させようとするのは、あまり効果的ではありません。

では、男の子のしつけはどのようにすれば良いのでしょうか。

漠然とした表現ですが、「感覚に訴える」ということがポイントになってきます。

硝子の心を持っている反面、感覚的には繊細な部分があり、例えば母親の顔色や動作ひとつから「今日のママは機嫌が良いな」とか「今日のパパは楽しそうだな」などと敏感に感じ取っています。

しかし、それを口に出して表現することはほとんどなく、自分の心の中で感覚として読み取っているのです。

要は「口で言うより、態度や行動をみせて学ばせる」ことが重要になってくるでしょう。

怒り方についても、スーパーのお菓子売り場やオモチャ売り場で、母親が大きな怒鳴り声を出して息子を叱り飛ばし、その子は泣き叫んでいるという現場に出くわした人は多いことでしょう。

あのやり取りは最悪で、親が思いどおりにならない苛立ちを子供にぶつけているようなものです。

男の子に対しては、理論よりも感覚で教え込むことが大切です。

我が儘を言ってデパートの通路に座り込んだり、お友達が遊んでいるオモチャを無理矢理取り上げてしまうなどの乱暴な行動がみられたときには、怒鳴りつけたりましてや手を上げたりしては絶対にいけません。

「自分がされた時にどう感じるか」を体感させる方法が効果的です。

楽しんで遊んでいる最中に、突然手にしていた玩具を取り上げてみる、そうして「どんな気持ち?」と聞いてみるのです。

男の子が急いで公園などの遊び場へ行きたがっているとします。

そんな時、「ママは行きたくない」とか「ママはおうちでテレビが見たいのよ」などと子供がこれから楽しくやろうとしていることの出鼻をくじくようなことを言ってみます。

そして、同じように「こんなことされたら、こんなこと言われたら、〇〇ちゃんどんな気持ち?」と確認してみるのです。

きっと、今自分が小さな心の中で感じている何とも言えない「不快感」を実感することになり他人の気持ちを知るデビューです。