建設コンサルタントという仕事に興味を持っている方、あるいは転職先として検討中の方。実際の職場環境ってどんな感じなのか、気になりませんか。
僕は渡辺圭介、34歳です。もともとIT企業でSEとして5年ほど働いた後、思い切って建設業界に飛び込みました。現在は中堅ゼネコンで施工管理をしています。転職活動のとき、口コミサイトをひたすら読み漁った経験があるんですが、その頃から「建設業界の働き方って外からだとわかりにくいよな」と感じていました。
今回は、建設コンサルタント業界の職場環境を口コミサイトのデータも交えて調べてみたので、その結果をまとめます。就職・転職を考えている方の参考になれば幸いです。
目次
そもそも建設コンサルタントってどんな仕事?
建設コンサルタントの仕事を一言でいうと「インフラ整備のブレーン」です。道路、橋、ダム、上下水道、都市計画など、社会の基盤となる構造物の「設計」や「調査」「計画」を担っています。
ゼネコンが「実際に作る」側だとすると、建設コンサルタントは「何をどう作るかを考える」側。ここが最大の違いです。
デスクワーク中心だけど現場もある
建設コンサルタントの業務は基本的にデスクワークが中心です。設計図面の作成、報告書の執筆、データ分析など、オフィスでの作業がメインになります。ただし、現地調査や発注者との打ち合わせで現場に出ることもあります。
施工管理と比べると体力的な負担は軽い印象ですが、その分、納期に追われる精神的なプレッシャーは大きいと感じる人が多いようです。
業種の幅は思った以上に広い
建設コンサルタントと一口にいっても、その業務範囲はかなり広くなっています。
- 道路・橋梁などのインフラ設計
- 都市計画・まちづくり
- 環境アセスメント
- マンションの大規模修繕コンサルティング
- 耐震診断・補強設計
- 上下水道の設計
公共事業がメインの大手から、マンション修繕に特化した設計事務所まで、会社によって得意分野がまったく違います。転職を考える際は、自分がどの分野に関わりたいかを明確にしておくと、企業選びがスムーズになります。
口コミサイトで見えた建設コンサルの給与事情
建設コンサルタントの年収について、各種口コミサイトや転職サイトのデータを調べてみました。
業界全体の平均年収は約520万円とされています。ただし、大手企業になると平均700万円を超えるケースも珍しくありません。JAC Recruitmentの成約データによると、建設コンサルタントの平均年収は710.8万円で、ボリュームゾーンは600万〜900万円です。
| 分類 | 平均年収(目安) |
|---|---|
| 業界全体 | 約520万円 |
| 大手企業 | 700万〜900万円 |
| 都心勤務 | 約884万円 |
| 地方勤務 | 約695万円 |
注目したいのは都心と地方の差です。都心部の年収相場は約884万円、地方だと約695万円。200万円近い開きがあります。
口コミを読んでいると「基本給はそこまで高くないけど、残業代でカバーしている」という声が目立ちます。残業が多い分だけ手取りが増える構造です。裏を返せば、残業が減ると収入も下がるというジレンマを抱えている人も少なくありません。
賞与は年2回支給する会社が多く、夏冬合わせて4か月分が標準的。業績が好調な企業では8か月分支給というケースもあります。資格手当を支給する会社が多い点も、この業界の特徴です。
残業時間のリアル、口コミはどこまで正しい?
建設コンサルタントの残業問題は、口コミサイトでも頻出のテーマです。
年度末の「修羅場」はまだ続いている
一般社団法人 建設コンサルタンツ協会が公表している白書のデータによると、所定外労働時間は2019年から2022年にかけて減少傾向を示しています。ただし、年度末(2〜3月)の納期集中による残業増加は依然として解消されていません。
口コミでも「普段はそうでもないけど、年度末は毎年修羅場」「3月は終電が当たり前だった」という声が散見されます。
都心の建設コンサルタントでは年間残業時間が361〜480時間という数字も出ています。月平均にすると30〜40時間ですが、繁忙期に偏っていることを考えると、ピーク時はかなりの長時間労働になります。
一方、地方の建設コンサルタントは残業が月30時間程度に収まっている会社も多く、勤務地選びが働き方に直結する業界だと感じます。
平日は減っても休日出勤が増えている?
ここで少し気になるデータがあります。建設コンサルタンツ協会の白書によると、平日の時間外労働は減少している一方で、法定休日労働時間が年間を通じて増加しているそうです。
つまり「平日の残業は減ったけど、その分が休日に回っている」可能性がある。口コミでも「残業時間の数字だけ見ると改善しているように見えるけど、休日出勤が増えた」という指摘がちらほら見られます。数字のマジックには注意が必要です。
社風・人間関係を口コミから読み解く
技術者集団ならではの雰囲気
建設コンサルタント会社は、技術系の資格保有者が多い職場です。口コミサイトを見ていると「真面目でおとなしい人が多い」「黙々と仕事をこなすタイプが集まっている」という声が目立ちます。
専門性が高い分、自分の仕事に集中できる環境がある反面、チームでの雑談やコミュニケーションが少ないと感じる人もいるようです。IT業界から来た僕の感覚だと、SEの職場と似た雰囲気かもしれません。
「昭和体質」はまだ残っている会社もある
一方で、口コミの中には「昭和気質で変化を嫌う」「年功序列が根強い」という評価もあります。特に歴史の長い中小企業でこうした傾向が見られることが多いようです。
ただ、これは建設コンサルタント業界に限った話ではありません。どの業界でも、会社によって社風は大きく違います。口コミを読むときは「この会社の話であって、業界全体がこうだ」と一般化しないことが大事です。
離職率は意外と低い
建設コンサルタント白書のデータでは、業界全体の離職率は約4%とされています。日本全体の離職率14.6%(厚生労働省)と比べると、かなり低い数字です。
ただし、注意点もあります。新入社員の離職率は高く「1年持たずに辞める人が大半で、1年を超えるとぐっと定着率が上がる」という傾向が報告されています。最初の1年を乗り越えられるかが分岐点になっている。
総合資格naviの建設コンサルタント業界分析によると、昨年度の技術者採用数は1社平均約14名に対し、離職者数は約9名。離職者の55%が建設業界以外の他業界に転職しています。業界外への人材流出が深刻な課題であることが読み取れます。
大規模修繕コンサルなど専門分野の職場環境
建設コンサルタントの中でも、マンションの大規模修繕に特化した設計事務所は少し毛色が違います。
公共事業中心の建設コンサルが「官公庁の発注者」を相手にするのに対し、大規模修繕コンサルは「マンション管理組合」が主な取引先です。住民の方々と直接やり取りする場面が多く、コミュニケーション能力が求められる分野になっています。
口コミサイトでこの分野の企業をいくつか調べてみると、受託戸数19万戸超の実績を持つ老舗など、規模や歴史のある企業が一定数あることがわかります。たとえば株式会社T.D.Sの口コミページを見てみると、社員の約半数が1級建築士という技術者集団の雰囲気が伝わってきます。
この分野の特徴として、口コミから以下のような傾向が読み取れます。
- 管理組合との対人コミュニケーションが多い
- 物件ごとにプロジェクトが進むため区切りがつけやすい
- 繁忙期は春〜夏(工事シーズン前の設計監理業務)に集中しやすい
- 資格手当の制度が充実している会社が多い
公共事業系の建設コンサルと比べると、年度末に集中する「修羅場の3月」は比較的起こりにくい傾向にあります。繁忙期の時期が違うだけでも、生活リズムへの影響はかなり変わってきます。
建設コンサルタント業界の働き方改革は進んでいるのか
ノー残業デーの実施率は約9割
建設コンサルタンツ協会は毎年6月と10月の全水曜日をノー残業デーとして設定し、会員企業に実施を呼びかけています。約9割の会員企業がこの取り組みに参加しており、実施月の定時後1時間以内の退社率は80〜82%に達しています。
口コミでは「ノー残業デーはちゃんと機能している」「水曜だけは帰れる」という声がある一方、「形だけのノー残業デーで、実際は自宅で仕事している」という本音も。制度の実効性は会社によって温度差があるようです。
Web会議の普及が働き方を変えた
コロナ禍をきっかけにWeb会議が一気に普及し、建設コンサルタント業界でも移動時間の削減に大きく貢献しています。
- 遠方の現場との打ち合わせが日帰り不要になった
- 会議の参加人数を最小限にできるようになった
- 複数の会議に同日中に参加できるようになった
- ペーパーレス化が進んだ
ただし、現地調査や施工監理は当然リモートではできません。完全なテレワーク化は難しいのが建設コンサルタントの宿命でもあります。
PCの強制シャットダウンを導入する企業も
一部の企業では、決められた時間にPCを強制シャットダウンする仕組みを導入しています。口コミでは「最初は不便だと思ったけど、業務の優先順位を考える癖がついた」という前向きな評価もあれば、「結局家で続きをやるだけ」という声もあります。
働き方改革は確実に進んでいるものの、建設コンサルタント特有の「納期に追われる」性質がある以上、制度だけでは解決できない部分も残っています。
口コミサイトを賢く使うためのポイント
ここまで口コミベースで建設コンサルタント業界の職場環境を見てきましたが、口コミサイトとのつき合い方にも触れておきます。
退職者バイアスに注意
口コミサイトに投稿する人は退職者、あるいは退職を検討中の人が多い傾向があります。そのため、どうしてもネガティブな意見に偏りやすい。「この会社はひどい」と書いてあっても、それが社員全体の総意とは限りません。
複数のサイトで比較する
1つのサイトだけで判断するのは危険です。エン ライトハウス、OpenWork、転職会議など、複数のサイトで同じ企業の口コミを見比べてください。同じような内容が複数サイトで言及されていれば、信頼度が高いと判断できます。
投稿時期にも目を配る
3年前の口コミと今年の口コミでは、会社の状況が大きく変わっている可能性があります。特に「働き方改革」が本格化した2020年以降の口コミに注目すると、最新の実態に近い情報が得られます。
数字で裏取りする習慣をつける
口コミサイトの主観的な評価だけでなく、業界白書や公的データと照らし合わせることも大切です。感覚的な「残業多い」だけでなく、実際の残業時間データと比較すると、より正確な判断ができます。
まとめ
建設コンサルタント業界の職場環境を口コミサイト中心に調べてみました。
給与面では大手と中小、都心と地方で大きな差があります。残業時間は年度末に集中する傾向があり、改善は進んでいるものの、休日出勤の増加という新たな課題も見えてきました。社風は会社ごとに大きく異なるため、「業界全体がこう」とひとくくりにはできません。
口コミサイトは便利なツールですが、退職者バイアスがかかっている前提で読むこと、複数のサイトを比較すること、公的データと照合すること。この3つを意識するだけで、情報の精度はぐっと上がります。
建設コンサルタントへの就職・転職を考えている方は、口コミだけで判断せず、実際に働いている人の話を聞く機会を作ることをおすすめします。僕自身、IT業界から建設業界に来た身として、業界のことは中に入ってみないとわからない部分が多いと実感しています。この記事が、皆さんの情報収集の一助になればうれしいです。



