管理栄養士の河野彩です。病院の栄養指導室で7年間、患者さんの食事を見てきました。現在はフリーランスで食育ライターをしています。
栄養指導をしていると「ビタミンは普通に食べてれば足りるでしょ?」と聞かれることがとても多いです。感覚的にはそう思いたい気持ちはわかります。ただ、厚生労働省のデータを引っ張ってきて実際に比べてみると、案外そうでもないんです。
今回は抗酸化ビタミンの代表格であるA・C・Eの3つに絞って、日本人の平均摂取量が推奨量に届いているのかを検証してみます。
そもそも抗酸化ビタミンが必要な理由
私たちの体は、呼吸するだけで活性酸素を生み出しています。適量なら免疫機能として働いてくれますが、紫外線やストレス、喫煙、睡眠不足などが重なると過剰に増えてしまう。増えすぎた活性酸素は細胞を酸化させ、老化や生活習慣病の引き金になります。
この酸化ダメージを防ぐのが抗酸化ビタミン。ビタミンEは細胞膜の脂質部分を守り、ビタミンCは血液中など水溶性の部分で働き、ビタミンA(β-カロテン)は皮膚や粘膜を保護する。3つがそれぞれ違う場所を担当しているからこそ、どれかひとつでは不十分で、バランスよく摂ることが大切です。
推奨量と平均摂取量を並べてみた
「日本人の食事摂取基準(2025年版)」の推奨量(ビタミンEは目安量)と、令和元年の国民健康・栄養調査の平均摂取量を比較します。
| ビタミン | 推奨量(成人女性) | 推奨量(成人男性) | 平均摂取量 | 判定 |
|---|---|---|---|---|
| A | 700μgRAE | 850〜900μgRAE | 534.1μgRAE | 不足 |
| C | 100mg | 100mg | 93.5mg | やや不足 |
| E | 5.0〜6.0mg | 6.5mg | 6.7mg | ほぼ充足 |
ビタミンEは平均値で目安量をクリアしています。問題はビタミンAとC。ビタミンAは推奨量に対して約76%しか摂れておらず、ビタミンCもわずかに届いていません。
健康長寿ネットでも指摘されているとおり、日本人の野菜・果物の摂取量は年々減少傾向にあります。ビタミンAとCの不足は、その影響がそのまま数字に出ている形です。
しかもこれは全国平均の話。外食やコンビニ食が中心の人、野菜をあまり食べない人は、平均よりさらに低い可能性が高い。栄養指導の経験上、「サラダは食べてます」と言う方の中身がレタスとキュウリだけというケースは珍しくありませんでした。淡色野菜だけではβ-カロテンはほとんど摂れないので、にんじん、ほうれん草、かぼちゃなどの緑黄色野菜を意識的に取り入れることが大切です。
飲み物で手軽に補うという選択肢
食事の改善が理想なのは間違いありません。ただ、毎日の献立を完璧に管理するのは正直なところ大変です。そこで補助手段として活用したいのが、抗酸化成分を含む飲み物。
- 緑茶に含まれるカテキンやコーヒーのクロロゲン酸は、どちらもポリフェノールの一種で抗酸化力がある
- 大麦若葉やケールを原料にした青汁は、ビタミンA・C・Eを幅広くカバーできる
- 朝食前や間食代わりの1杯なら、忙しい人でも続けやすい
とくに青汁は、ビタミンだけでなくSOD酵素や食物繊維も一緒に摂れる点が優秀です。飲み物の種類ごとにどんな抗酸化成分が含まれているかは、活性酸素を減らす飲み物について整理された日本薬健のコラムがわかりやすいので、気になる方は参考にしてみてください。
まとめ
抗酸化ビタミン3種のうち、日本人の食事で足りていないのはビタミンAとビタミンC。ビタミンEは比較的充足しています。まずは緑黄色野菜と果物を意識すること。それに加えて緑茶や青汁など抗酸化力のある飲み物を取り入れれば、不足分を無理なく補えます。完璧を目指すより「今の食生活にひとつ足す」くらいの感覚で始めてみてください。


