精神障害者というと「危ない人」というイメージを持つ人がほとんどですが、正しい定義をご存知でしょうか。
精神障害とは、疾患によって精神機能に障害が発生し、普通に日常生活を過ごすことや社会参加に困難になっている状態と定義されています。
その種類や症状はいくつかありますが、まだ原因ははっきり分かっていません。
体の疾患の場合はその部位や症状によって分類することが可能ですが、心の疾患については主に「脳」になんらかの異常をきたしていることが分かっている程度です。
その原因も体の病気が関係していたり、ストレスがきっかけであったりとさまざまです。
その病状が深刻になってしまった場合は判断能力や行動のコントロールが著しく低下することがありますが、精神障害に関する正しい知識が未だ十分に知られていないこともあり、精神障害というだけで偏見や誤解、差別の対象となってしまうことが問題となっています。
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精神障害の種類
そんな精神障害の種類には、「統合失調症」「神経症」「依存症」「認知症」「気分障害」があります。
統合失調症
統合失調症は、脳の働きをまとめることが困難になるため幻覚や妄想などの症状が起こる病気で、気分や行動に直結してしまうため人間関係に影響が出る傾向が高くなっています。
思春期・青年期に発症することが多く、幻覚や妄想などの健康なときにはなかった状態が現れる陽性症状と、意欲の低下や感情表現が少なくなるなど健康なときにあったものが失われる陰性症状があります。
神経症
神経症にはパニック障害や恐怖症などがあり、気分の波が主な症状として表れます。
自分ではコントロールできないことが多いため、発作が起きやすい状況や場所を避けることが大切です。
依存症
依存症にはギャンブル依存症やアルコール依存症などがあり、精神障害の中でも比較的一般に知られています。
しかし、依存症は「否認の病」とも言われるように、本人は病気を認めたがらない傾向にあります。
完治するためには自分自身の強い意志も必要ですが、家族など周囲の人々のサポートがとても大切となっています。
認知症
認知症は正常に働いていた脳の機能が低下してしまうことで記憶や思考への影響がみられる病気で、主に男性よりも女性に多いことが特徴です。
加齢による物忘れと混同しやすいですが、気分の波が激しかったり外出をいやがる、被害妄想や話がかみ合わなくなるなどのサインが見られるようになったら注意が必要です。
気分障害
気分障害は躁うつ病とも呼ばれています。
テンションが高く活動的になる躁状態と、憂うつで無気力なうつ状態を繰り返すことが特徴で、躁状態の場合は睡眠を取らなくても元気に活動が可能で、次々にアイデアが浮かぶなど周囲が心配になるような万能状態になります。
一方、うつ状態になると気分が一転し、自己破壊衝動にかられることもあります。
ただし、この病気は薬物療法で改善することができるため、周囲の人たちが日頃の様子や気分の波を見守ることが大切です。
国や自治体による各種公的支援制度
このような症状に悩まされる精神障害ですが、国や自治体による公的支援制度が各種あることはあまり知られていません。
精神障害者保健福祉手帳
精神障害者の自立と社会参加の促進を図るための「精神障害者保健福祉手帳」もあり、さまざまな支援策が講じられています。
支援制度は長期に亘って日常生活や社会生活への制約がある人が対象で、前述の各障害は全て対象です。
また、手帳には1級から3級までの等級があり、1級は「精神障害で日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの」と定義されています。
2級は「精神障害で日常生活に著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの」、3級は「精神障害で日常生活若しくは社会生活が制限を受けるか、又は日常生活若しくは社会生活に制限を加えることを必要とする程度のもの」となっており、等級によって支援の内容が変わります。
国による主な支援
国による主な支援には、公共料金の割引や所得税・住民税の控除、自動車税などの軽減があり、自治体や事業者が提供するものには、医療費の助成や公共施設への入場料の割引、携帯電話料金や上下水道料金の割引などがあります。
手帳の申請先は各市町依存の担当窓口で、申請に当たっては申請書の他に診断書や本人の写真が必要になります。
ただし、診断書は精神障害の初診日から6ヶ月以上経過してから精神保健指定医か精神障害の診断、又は治療に従事する医師が記載したものでなければならないので注意が必要です。
申請すると各都道府県・政令指定都市の精神保健福祉センターにおいて審査が行われることとなり、認められると手帳が交付されます。
手帳の有効期限は公布日から2年間で更新には診断書を添えて続きを行いますが、障害等級に定める精神障害の状態にあることについての都道府県知事の認定が必要となっています。
まとめ
この精神障害者保健福祉手帳を持つことで不利益が生ずることはなく、逆に手帳を持つことで各種の支援を受けることができるので、精神障害の診断を受けている場合は一度厚生労働省のホームページを確認してみてはいかがでしょうか。